とある謎制作初心者のしくじりの記録

この記事は、以前謎の一枚に出題した「図形パズル(https://nazo.pics/nazo/202001/00045)」という謎にまつわるしくじりの記録を文章化したくなったので書いたものです。当該問題の大幅なネタバレ(というかほぼ答え)を含むので、見たくない人は人は戻ってください。
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「創作してえなあ~」という曖昧な感情は多くの人にあると思うんですよ。僕は2020年、これが「謎作りてぇなあ」という形で発露したので、年始頃にたまたま思いついたやつを謎の一枚に出題(https://nazo.pics/nazo/202001/00025)してみることにした。いわゆる初投稿である。
この謎は幸い何人かの方から好評をいただくことができた。
ちなみにこれは自分でも気に入ったので、そのあとリマスター版(注意:若干のネタバレ有:https://drive.google.com/open?id=1BCjcUf0ARxCHUSfIdHztoOnImiAJTkZi)も作った。僕はリマスター版の方が好みなんですけどどうでしょう。

↓ここからネタバレ

一応

 

「続きを読む」

 

 

使った

 

つもりだけど

 

ちゃんと

 

できてるか

 

自信が

 

ないので

 

しばらく

 

行を

 

空けて

 

・・・

 

しばらくたったある日、風呂に入っていたとき不意に、昔考えたことのある「合同分割の仕方がたくさんある図形」というものを思い出した。
そのとき考えた形は覚えていたし、分割線の通る文字を読むことにすれば単語が出る形式のパズルになる。それでいくつかの単語を得て最後に合体すると正解に辿り着く。なかなかよさそうじゃないか、と。

風呂からあがり、合体させられる単語の組をプログラムで探す。なかなかいい感じの解答ワードが出てきたのでそいつを採用。ダミー文字をどこにどう埋めるかや細かい作図作業*1
個人的に、謎は見た目がスッキリしている方が好みなので、ルールを明に書かず、例題形式で示すことにした。例題にダミー文字を埋めるときに、特にしばりがなかったのでどう埋めるか困り、もしかしたら例題の分割後のピースが同じであることをうっかり見落とす場合もあるだろう、とか、例題では2つに分割したけれど本番ではそれ以外のパターンも考えてしまうのではないか、と思って、ルールが分かりやすくなればと「おなじ」「ふたつ」の文字を入れたのだった。これが第一の問題点を作り出すことになる。
ともあれそうしてひとまず謎↓は完成したので、謎の一枚に出題した。正答率や正解者数は思ったより高くなかったのだけど、正解者は居たし、もとより正解前に誤答を何回か出すのは想定済みの出題だったので、あまり気に留めていなかった。

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画像 - ver.1



第一の問題点は職場での飲み会で発覚した。
とある同僚氏(謎クラ)が「おめさんこれ解けないんすけど!」と問い詰めてきたのである。合同な2ピースに分割して文字を拾うというルールは正しく認識していたし、「解けてると認識しているが解けてない状態」が発生しやすいのは謎の性質上仕方がなかったので、最初は「そうだね~~~」という感じでヘラヘラしていた。
のだが、そのうちにその様子を見ていた他の同僚氏(非謎クラ?)が、例題に入れておいた「おなじ」「ふたつ」の文字列に注目し、「もしかして残った文字がルールを表すように切るんじゃないですか?」と発言。右下になんとなく「よ」とか入れておいたのも災いして「『よん』とか拾えるやん!」とどんどん思考がそっちに行ってしまう。
落ちそうな穴をふさいでおこうと思って入れた文字で思考を違う方向にそらしてしまった。明確に裏目に出ており、失敗である。おそらく他にもこれらの文字に導かれてそっちの方向に入っていった人がそこそこ居るのではと思われる。よくない。

例題のダミー文字を変更するという手段もあったが、変更がわかりづらいし、「ルールは合同2分割であってます!」というのをそういうぼやっとした方法で伝えるよりは直接伝えた方がよかろうと思い、見た目は少しごちゃごちゃするが仕方ないか・・・と、ルールは明に書くことに決めた。上述の飲み会の夜は酔っていてそういう作業をする感じにならなかったので、翌日の夜に下の画像のようなver2を作成してアップロードした。

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画像 - ver.2

すると追加で何人かが解いてくれた。けどまだやっぱり少ない。

あと、エゴサを行っていたところ、あまりお気に召されなかった旨の感想も見つけてしまった。少し落ち込んだが、でもこの時は、人によって好みは異なるだろうし、ネガティブな感想に振り回されすぎたら何も作れないから自分の好きなものを作るのがいいよね、みたいなことを思ってスルーしてしまっていた。
その後、無為に過ごしていると、ふいに二つ目の問題点に気がついた。

解く側の視点として。一つ答えを見つけて誤答判定をもらった場合、次にすることは大抵「ルールの解釈を確かめる」か「別の解を探す」だと思う*2が、ver2ではルールは明確に書かれているのでそこを掘る余地は無い(と思う)。なので別の解を探すことになる。頑張って探すと別の解はそのうち見つかるだろう。しかし得られた2つの単語をしばらく見ていても解が見えてこないので、そうすると3つ目の解を探す方に向かうかもしれない。これもまあ頑張って探せば見つかるだろう。
先ほど言った二つ目の問題点というのは、解く側はこの作業を「解がいくつあるのか」を知らない状態で行うということだ。出題した僕の頭には「全3解」がこびりついていたので、解が複数あることに気が付いたらそのあとは「3つの解を探す」→「それらを組み合わせよう!」と思考が進むのは自然なことに思えていた。しかし実際には、解が2つの時点でも、それらを組み合わせてなんとかしようと試みるかもしれないし、もしくは、3つ目の解を見つけた後、ともすれば4つ目の解(ない)を探し求め続ける方向に行ってしまう。道を知らない状態の人に何も伝えないで、ちょうど3個目の交差点で曲がってくれ、と願うのは無理があるのだ。
得られた複数の単語からは試そうと思えば非常にいろいろなことが試せるであろうことや、4つ目の解がないことを確信する方法が特にないこと*3を考えると、この流れは非常にストレスフルなのではと思った。よくない。

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画像 - ver.3

そういうわけで、ver3(上図)を作成した。
例題の答えが横書きなのに???が縦に並んでいることで、例題と同じように解くだけではなく、何か他のことが起きている(実際には各?が1つの解に対応している)のでは、という気づきを発生させようとした。
?が3つなので、複数解を探す段階になったら、全3解だよ、というのがそれとなく伝わるんじゃないかと期待している。使っていた単語も3文字だったので一応マギレにもなっている(逆に、このマギレのせいで解の個数について伝わらなくなる恐れもあるのだけど)*4
わりと良くなったんじゃなかろうか。まだ問題点はあるかもしれないけれど、とりあえずこの記事の時点では、謎の一枚ではver3で出題している。
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特に教訓を含んだまとめとかはないです。「思ったように悩ませる」って難しいのだなあ、人をちゃんと楽しませるのは難しいのだなあ(そしてそれらをコンスタントにやっている人々はすごい)、というのを学びました。これからもよろしくお願い申し上げます。

*1:このステップでペンパくん(https://opt-pan.github.io/penpa-edit/)に大変お世話になりました、ありがとうございます

*2:ver1ではここで「解釈を確かめる」に誘導してしまった

*3:実際僕も出題前プログラム書いて全検するまでは不安だった

*4:ところで、枠無しの?は○とか□とかと比べて、1文字が入るようにもワードが入るようにもどっちも見えるので、マギレを作りたいかどうかで使い分けていくとよさそうだなあという学びを得ました